2019年9月の写真です。


オニフスベを発見した近くで、今度は赤いキノコを発見しました。ベニイグチだと思われます。
ブログ用 ベニイグチ
イグチ目 イグチ科 ベニイグチ属 ベニイグチ(たぶん)


●ベニイグチについて
 ベニイグチは以前紹介したイグチ科に属しているキノコではあるのですが、分類の方法によってはオニイグチ科という分類に入れられることもあるようです。また、他のイグチ科のキノコたちとは少し違った遺伝子構造をしているため、ベニイグチ属に分類されています。

 日本や中国、朝鮮半島、マレーシア、オーストラリアなどのシイ、カシ、アカマツ、コナラなどの広葉樹林で夏から秋にかけて発生します。日本においては西日本で多く見られ、東日本ではあまり見られない珍しいキノコらしいです。


 柄と傘で構成され、傘は半球形や饅頭のような形で、大きさは直径5cm~13cmほどになります。背面は紅色や赤褐色、紫色を帯びた深紅色をしており、湿った際は弱い粘性を持ちます。裏側は黄色やオリーブ色をしており、他のイグチ科のキノコのように、胞子をばら撒くためのスポンジの穴のような細かい管孔(かんこう)があります。

 柄は黄色で8cm~14cmほどの長さになり、根元が太く、傘に近くなるにつれ細くなる棍棒のような形で、表面は赤い編目状の隆起やささくれに覆われています。

 全体的に肉厚で内部は白く、傷がついた場所は薄い青色に変色します。イグチ科の中では痛みやすく、カビが生えやすいそうです。


 図鑑などでは食毒は不明、もしくは毒有と表記されているので、食べない方がいいかと思われますが、「食べてみたら美味しかった」なんて書かれたブログ記事がいくつかあったので、試してみたい方は自己責任で。


●おまけ 毒キノコの毒について
 現在日本には約2000種のキノコが確認されていますが、その内毒キノコが約150種で、中毒事例が報告されているのは約50種です。中毒の発生時期は、キノコのシーズンである9月から10月に多く、死者が出ることもあり、自然毒による死者数は、フグに次いで2番目に多いとのことです。


毒キノコによる主な中毒症状
 
 症状のタイプは主に4つに分類されます。

①原形質毒型
 環状ペプチド、ファロトキシン、サトラトキシン、ムスカリンなどの物質によって引き起こされるもので、体内の臓器や細胞に影響がでて、激しい下痢や腹痛、発熱、手足のしびれなどの症状が発生し、悪化すると肝不全や肝性脳症、消化器不全などを発症し、死に至ります。致死率が非常に高い分類で、素早い処置が必要になります。ドクツルタケ、タマゴテングタケ、カエンタケなどの毒キノコがこの分類になります。


②神経障害型
 イボテン酸、シロシビン、コプリン、クリチジンなどの物質によって引き起こされるもので、主に神経系に作用し、幻覚や幻視、幻聴、激しいめまいや頭痛などの症状が発生します。中毒による死亡例は稀で、幻覚作用を引き起こすことから、酩酊薬や宗教的な儀式に用いられていた時代があったそうです。また、強いうまみ成分を含んだ種も存在し、好んで食される地域もあるんだとか。ワライタケやベニテングタケなどが有名です。


③消化器障害型
 ファシクロール、イルジンSなどの物質によって引き起こされるもので、その名と通り消化器に影響を及ぼし、吐き気や嘔吐、全身の倦怠感が発生します。中毒による死亡例は稀ですが、中毒事例上位トップ3である、ツキヨタケ、クサウラベニタケ、カキシメジがあります。


④その他 食用キノコによる中毒
 食用キノコといえども中毒症状になることがあり、生食や加熱不足、過剰摂取により発生し、胃腸障害などが起こることがあります。また、腎臓機能に問題がある人が摂取することにより、急性脳症により死に至ることがあるそうです。主に、マイタケやシイタケ、スギヒラタケなどの食用として有名なキノコに多く発生する事例のようです。今までは毒がないと思われていたキノコも、研究によって有毒キノコに分類されることも珍しくないので、食用キノコでも油断しないようにしましょう。
 
 
●まとめ 感想
 ベニイグチの表面はその名の通り、とても綺麗な紅色をしており、地面が茶色や黒なのでとてもよく目立っていました。綺麗なのですが、あまり美味しそうには見えないので、食べてみようとは思いませんでしたね

 毒キノコに関してですが、よく、「地味な色のキノコは食べられる」、「虫が食っているのは人が食べても大丈夫」、「縦に裂ければ食べられる」、「塩付けにすれば毒が抜けて食べられる」なんて話を聞くのですが、これらは科学的な根拠の無い迷信なので、キノコ採取の際はキノコに詳しい人と一緒に採取するか、図鑑で調べながら採取するか、怪しいキノコは食べない、といったことを心がけて安全にキノコ狩りをしましょう。


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次回は、小田野城跡を紹介します。