2019年8月の写真です。
カブトムシやクワガタなどを見つけた公園を昼間にも探索してみたところ、アゲハチョウのようなチョウを発見しました。

ブログ用 アカボシゴマダラ (2)
チョウ目 タテハチョウ科 コムラサキ亜科 アカボシゴマダラ属 アカボシゴマダラ


●アカボシゴマダラについて
 体長40~53mm。関東(主に神奈川、東京、埼玉が中心)、九州の奄美諸島の雑木林に生息しています。生物学の世界において「分類学の父」と称される、カール・フォン・リンネによって命名されたチョウの中で、最も古く命名された種類であると言われています。


 卵は植物の葉などに産み付けられ、丸くて縦線模様がスイカのように何本も入っています。約1週間ほどで孵化し、関東地方の幼虫はエノキを、奄美諸島の幼虫はクワノハエノキをエサにします。

 幼虫は孵化したばかりのころは体が緑色で、側面には数本のトゲのような毛生え、頭部が黒いイモムシなのですが、成長するにつれ側面の毛は無くなり、その変わりに背面には等間隔に黄色いトゲと様な突起物が生え、さらに頭部には2本の角のような長い突起物も生えます。

 冬になると幼虫の姿で越冬します。越冬中の幼虫は木の表面や陰などで春になるのをじっと待つのですが、このとき幼虫の体は小さくなり、また、緑色から木の表面と同じ褐色に変色します。そして春になり暖かくなると体の大きさと色が元に戻り、木の枝などにサナギをつくります。

 サナギから羽化するタイミングは春ごろと夏ごろの2つの時期があり、春に羽化した成虫の翅は黒と白の斑模様で、後翅が薄っすらと赤くなっています。一方、夏に羽化した成虫の後翅は濃い赤色になっています。写真のアカボシゴマダラは夏に羽化した個体なのか、後翅が濃い赤色になっています。


成虫は花の蜜や樹液などをエサにします。この個体はクヌギの樹液を吸おうとしているようです。
ブログ用 アカボシゴマダラ3



●「生態系被害防止外来種」に指定されているチョウ
 アカボシゴマダラは日本では元々、奄美諸島にしか生息しておらず、中国、台湾、韓国などが主な生息地でした。しかし、1995年に埼玉県で発見されました。このときは一時的なもので終わったそうですが、その数年後には神奈川県でも確認され、さらに2006年には東京で、2010年以降には関東地方、山梨県、静岡県、愛知県などでも姿が確認され、中には富士山の山頂でも発見されたとのことです。

 調べてみると、これらは元々中国に生息しているもので、日本で突然発生したことから、人為的によって放虫されたと見られ、日本の環境に適用し、今後も生息域を拡大し続けるのではないかと考えられています。

 人に害を与えるとは考えられていませんが、日本に生息しているゴマダラチョウと生態が似ているため競合し、日本の生態系を脅かすのではないかとされ、環境省から「生態系被害防止外来種」に指定され今後の対応が検討されています。
 

●まとめ 感想
 このチョウは子供のころは見かけたことは無かったのですが、最近になって公園や雑木林などでよく見かけるようになりました。多少近づいても逃げたり動いたりしないため、「他のチョウたちと比べて、随分と撮影しやすいチョウだなー」、なんて思っていたのですが、まさか中国からの外来種で、「生態系被害防止外来種」などというものに指定されているとは思ってもみませんでした

 このチョウは人為的に放されたそうですが、皆さんはくれぐれも外国の生き物を日本に放したりしないようにしましょう。


これだけ手を近づけても、全然逃げませんでした。危機感というものは無いのか・・・。ですが、簡単に撮影できました
ブログ用 アカボシゴマダラ4


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次回は、二宮城を紹介します。