2019年8月の写真です。

 ゲジゲジを見つけた木の反対側でコクワガタを発見しました。とても活発に動き回っていたため、ピントを合わせるのが大変でした

ブログ用 コクワガタ
コウチュウ目 クワガタムシ科 オオクワガタ属 コクワガタ


●クワガタムシ科についてザックリと
 クワガタムシ科に属する昆虫は、世界各地の熱帯や亜熱帯の森林地帯を中心に分布し、現在までに約900種が発見され、日本にはその内の約30種が生息しており、オオクワガタや、ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタなどが有名です。ちなみに和名の「クワガタムシ」の「クワガタ」ですが、平安時代以降の武将がかぶっていた、鍬形(くわがた)と呼ばれる兜から由来しているそうです。

 
 卵は朽ち木や倒木、土の中などに産み付けられ、孵化した幼虫は白く、コガネムシ科の幼虫によく似ています。幼虫のエサは朽ち木や菌糸などで、多くは約2年ほどを幼虫の姿で過ごすのですが、エサが豊富な飼育下などでは約1年ほどで成虫になるそうです。

 
 成長した幼虫は土の中に蛹室(ようしつ)と呼ばれる部屋をつくり、そこでサナギになります。サナギは柔らかくデリケートで、病気になってしまったり、他の生物に掘り起こされてしまうなどで、上手く羽化できないこともあるそうです。

 
 サナギになってから約1か月ほどで羽化して成虫になるのですが、羽化後もしばらくは体が軟らかいため蛹室にとどまり、体が完全に固まるまでジッとして、数週間~数か月後に地上に出て活動します。

 天敵である鳥たちと遭遇しないように、夜行性の種がほとんどで、昼間は樹木や土の中に隠れて、夜になると地上に出て樹木の樹液や果実をエサにします。

 
 成虫の大きさは3mmほどしかない小型の種から、120mmにもなる大型の種まで様々で、やや長形で平たく、他の甲虫に見られるように硬い殻で覆われています。体色は黒色や赤褐色のものから、金色をしたオウゴンオニクワガタや、タマムシのように虹色で光沢を持ったニジイロクワガタなど様々。

 脚の先端は鉤爪がついており、樹木にしっかりとしがみつけるようになっています。翅は外側は硬い殻に守られ、殻の中に羽ばたかせるための翅が収まっています。しかし、飛行能力は低く、ほとんど飛ばない種や退化して飛ぶことができなくなった種もいます。

 そして、この昆虫の最大の特徴は頭部にあります。触角は2節に分かれて膝状に屈折し、口は樹液などの液体が吸いやすいようにブラシ状になっています。オスの個体には大きな顎がついており、この顎を使ってエサ場やメスの取り合いをします。顎の力は強力で、相手を真っ二つにしてしまうことも珍しくないそうです。

 寿命は約1年ほどですが、寿命が長い種もおり、飼育下で7年生きた個体もいるんだとか。


 夏の虫の代表格とも言うべき存在で、カブトムシに並ぶ人気を誇り、子供だけではなく大人にも人気です。カブトムシと同様に飼育も盛んで、夏になるとホームセンターにはカブトムシとクワガタの飼育キットが売られています。また、外国産クワガタの輸入も盛んに行われるようになり、日本にいながら外国のクワガタの飼育や観察が行えます。

 しかし、近年では生活環境である森林が開発などの影響で減少し、個体数が激減したり、逃げ出したり、放されたりした外国産の種が野生化し、元々の生態系に影響を与えたり、農作物に被害を出したりなどの様々な問題が発生しています。


●コクワガタについて
 体長は♂17~54mm、♀20~33ミリ。北海道、本州、四国、九州の平地や丘陵地、低山地のクヌギやコナラのある森林地帯に生息していますが、条件がそろっていれば町中の公園でも姿を見ることができます。個体数が多く捕獲も容易で、飼育もしやすいため、日本では馴染み深いクワガタだと言えます。

 
 産卵は5~9月ごろに行われ、卵は広葉樹の朽ち木や倒木の中に産み付けられます。約10~20日ほどで孵化し、幼虫は他の甲虫たちと同様、体は白く円筒形、頭部は黄色や赤褐色で、木を削ったり穴を掘ったりするための大きな顎を持っています。朽ち木や菌類をエサにしています。

 1年、環境によっては2年ほどで30~50mmに成長すると、朽ち木や土の中に部屋をつくり、そこでサナギになり、約3週間後に羽化して成虫になります。

 成虫は黒色や赤褐色をしており、鈍い光沢を放っています。オスの体は他のクワガタ属と同様に上下に平たい形をしています。特徴である頭部の顎は細長く、中央付近にやや上向きのトゲがあり、さらに先端にも小さなトゲがあります。大きなトゲを持つものや、全くトゲを持たないものなどの個体差があり、かつてはトゲを持たないものはヒメクワガタと呼ばれ、コクワガタとは別種の扱いでした。

 一方メスはオスに比べると細長い体をしており、上翅の部分に細かい縦線が入っています。頭部の顎は他のクワガタ属のメスと同様、非常に小さいです。

 
 成虫は羽化してもすぐに地上には出ずに、約1か間、環境によっては数か月間は部屋の中にとどまります。そして気温が高くなる日が続くと活動を開始します。夜行性なので、昼間は土の中や木の陰に隠れ、陽が落ちると樹液を吸いに木に集まってきます。5月~9月ごろまで成虫の姿を見ることができます。

 生殖活動を終え、秋になると一部の成虫は死んでしまうのですが、越冬するものもおり、冬は土や朽ち木の中で過ごし、春になるとまた活動を再開します。クワガタの中では長生きする種で、寿命は1年ほどですが、飼育下での環境では2~3年生きることもあるそうです。

 見た目の可愛さや、長い寿命、世話のしやすさなどから人気があり、野生の卵を捕獲して飼育する愛好家も多くいるそうです。


●まとめ 感想
 コクワガタは子供のころによく見かけていましたが、今は昔ほどたくさんは見かけなくなりました。それに、何度も手を挟まれて痛い思いをしたり、コクワガタの幼虫だと思って成虫になるのを楽しみに育てていたら、緑色のカナブンでガッカリしたりなど、私にとってはとても印象深いクワガタです。

 私の子供のころは外国のクワガタやカブトムシは、図鑑でしか見ることができませんでしたが、今ではネットやスーパー、ホームセンターなどで当たり前のように売られるようになり、結構驚きました。この間ホームセンターで、アトラスオオカブトのオスとメスのペアが、2000円というお手頃(?)な値段で売られていました。

 このように外国のカブト、クワガタが日本でも簡単に入手できるようになりましたが、日本の生態系維持のためにも逃がしたりせず、最後まで責任を持って飼育しましょう


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次回は、ノコギリカミキリとウスバカミキリを紹介します。