クマバチを見つけた公園でアブラムシも発見。花の根元に、ウジャウジャとついてました。
人家の庭とは違い、こまめに手入れする人がいないため、このような状態になってしまったのでしょう。
カメムシ目 アブラムシ科 キスゲフクレアブラムシ
●アブラムシについてザックリと
アブラムシはカメムシの中まで、世界で約3000種ほどが発見され、日本には約700種が生息していると言われています。植物の汁をエサにし、ほとんど移動せず植物の上でジッとして過ごしています。
体は小型、腹部は太く短く、頭部は小さく、3~6節からなる長い触角を持っています。また、腹部端に排泄を行うための角状管(かくじょうかん)と呼ばれる、一対のトゲのような器官が生えています。
時期によって翅を持たない無翅型と、翅を持つ有翅型が存在し、ほとんど動かない無翅型に対し、有翅型はその翅を使って飛び回り、生息範囲を広げるています。しかし、飛行能力は高くはないため飛ぶというよりは、風に乗っているといった感じになります。中には東南アジアから風に乗って、日本までやってくる種もいるんだとか。
主に春から秋にかけて姿を現し、植物の葉や茎などにコロニーと呼ばれる集団でまとまっています。春と秋ごとに寄生する植物を変える種が多く、冬になると全滅してしまい、卵だけが越冬します。
この虫は、体が軟らかく動きも遅いため、天敵に簡単に食べられてしまいます。なので、角状管から甘露(ハニーデュー)という分泌液を出し、それをアリに与える代わりに、外敵から守ってもらう習性を持っています。甘露はアリにとって美味しく、また、栄養が豊富なエサなので、アブラムシを守ることはアリにとっても大きなメリットがあります。アブラムシの周囲には、よくアリがいるため別名、蟻牧(アリマキ)とも呼ばれます。
この虫の繁殖は少し変わっており、春から夏にかけてはメスのみで単為生殖で胎内に卵をつくり、その卵を胎内で孵化させて出産する卵胎生で数を増やします。その時の子供は親と同じクローンのようなもので、性別は全てメスです。さらにその子供たちは、すでに胎内に子供を宿している状態で出産されるため、短期間に爆発的に数を増やすことができます。秋になると、オスが出現しメスと交尾を行うことによって卵を出産し、冬に備えます。
農作物や園芸植物をエサにする種がいるため、害虫として扱われています。駆除のため農薬を使うのですが、植物への影響が懸念されたり、アブラムシの爆発的な繁殖力に追いつかなかったりするため、近年では、アブラムシの天敵となるテントウムシ類や、寄生するハチなどを使って駆除する方法が盛んに行われています。
●キスゲフクレアブラムシについて
体長2.5~4mm。北海道、本州、四国、九州、沖縄の日本全国に生息し、初夏から春にかけてはノカンゾウやニッコウキスゲなどのキスゲ科の植物に寄生し、秋から翌年の春にかけてはミツバウツギやゴンズイなどに寄生します。そのため別名、ゴンズイノフクレアブラムシとも呼ばれています。近縁種にミツバウツギフクレアブラムシという種がいます。
無翅型は黄色い体を持ち、触角、脚、腹部の角状管は黒色で、尾方が短く先端が尖っています。体表からは白いロウ状の物質を分泌しているため、パッと見は白いアブラムシに見えます。一方、有翅型の体は橙色で、ロウ状物質は分泌しません。5月~11月ごろまで見られ、卵が越冬し春になると孵化して活動を始めます。
園芸品種として人気のヘメロカリスにも寄生し、吸汁されることにより弱ってしまったり、排せつ物が光合成を阻害して樹勢を弱めてしまう、すす病という病気を誘発するなどの被害があるため、農業害虫として駆除対象になっているそうです。
●まとめ 感想
他の虫たちは食べられないように体を丈夫にしたり、周囲の景色に溶け込む擬態ができたり、襲われないように活動できるように進化しましたが、アブラムシはアリに身を守らせたり、単為生殖でとにかく数を増やして生き残るスタイルに進化したのでしょう。たとえ弱くても、生き残るためにしっかりと考えられた生態だな、と思いました。
ただ、植物の茎や花にうじゃうじゃと、張り付いた様は結構気持ち悪いです。しっかりと手入れや駆除を行わないと、大量発生して植物全体がアブラムシまみれになってしまうそうです。
私のPIXTAページです。よろしければご覧ください。購入もできます。
興味があれば
次回は、フキバッタを紹介します。
人家の庭とは違い、こまめに手入れする人がいないため、このような状態になってしまったのでしょう。
カメムシ目 アブラムシ科 キスゲフクレアブラムシ
●アブラムシについてザックリと
アブラムシはカメムシの中まで、世界で約3000種ほどが発見され、日本には約700種が生息していると言われています。植物の汁をエサにし、ほとんど移動せず植物の上でジッとして過ごしています。
体は小型、腹部は太く短く、頭部は小さく、3~6節からなる長い触角を持っています。また、腹部端に排泄を行うための角状管(かくじょうかん)と呼ばれる、一対のトゲのような器官が生えています。
時期によって翅を持たない無翅型と、翅を持つ有翅型が存在し、ほとんど動かない無翅型に対し、有翅型はその翅を使って飛び回り、生息範囲を広げるています。しかし、飛行能力は高くはないため飛ぶというよりは、風に乗っているといった感じになります。中には東南アジアから風に乗って、日本までやってくる種もいるんだとか。
主に春から秋にかけて姿を現し、植物の葉や茎などにコロニーと呼ばれる集団でまとまっています。春と秋ごとに寄生する植物を変える種が多く、冬になると全滅してしまい、卵だけが越冬します。
この虫は、体が軟らかく動きも遅いため、天敵に簡単に食べられてしまいます。なので、角状管から甘露(ハニーデュー)という分泌液を出し、それをアリに与える代わりに、外敵から守ってもらう習性を持っています。甘露はアリにとって美味しく、また、栄養が豊富なエサなので、アブラムシを守ることはアリにとっても大きなメリットがあります。アブラムシの周囲には、よくアリがいるため別名、蟻牧(アリマキ)とも呼ばれます。
この虫の繁殖は少し変わっており、春から夏にかけてはメスのみで単為生殖で胎内に卵をつくり、その卵を胎内で孵化させて出産する卵胎生で数を増やします。その時の子供は親と同じクローンのようなもので、性別は全てメスです。さらにその子供たちは、すでに胎内に子供を宿している状態で出産されるため、短期間に爆発的に数を増やすことができます。秋になると、オスが出現しメスと交尾を行うことによって卵を出産し、冬に備えます。
農作物や園芸植物をエサにする種がいるため、害虫として扱われています。駆除のため農薬を使うのですが、植物への影響が懸念されたり、アブラムシの爆発的な繁殖力に追いつかなかったりするため、近年では、アブラムシの天敵となるテントウムシ類や、寄生するハチなどを使って駆除する方法が盛んに行われています。
●キスゲフクレアブラムシについて
体長2.5~4mm。北海道、本州、四国、九州、沖縄の日本全国に生息し、初夏から春にかけてはノカンゾウやニッコウキスゲなどのキスゲ科の植物に寄生し、秋から翌年の春にかけてはミツバウツギやゴンズイなどに寄生します。そのため別名、ゴンズイノフクレアブラムシとも呼ばれています。近縁種にミツバウツギフクレアブラムシという種がいます。
無翅型は黄色い体を持ち、触角、脚、腹部の角状管は黒色で、尾方が短く先端が尖っています。体表からは白いロウ状の物質を分泌しているため、パッと見は白いアブラムシに見えます。一方、有翅型の体は橙色で、ロウ状物質は分泌しません。5月~11月ごろまで見られ、卵が越冬し春になると孵化して活動を始めます。
園芸品種として人気のヘメロカリスにも寄生し、吸汁されることにより弱ってしまったり、排せつ物が光合成を阻害して樹勢を弱めてしまう、すす病という病気を誘発するなどの被害があるため、農業害虫として駆除対象になっているそうです。
●まとめ 感想
他の虫たちは食べられないように体を丈夫にしたり、周囲の景色に溶け込む擬態ができたり、襲われないように活動できるように進化しましたが、アブラムシはアリに身を守らせたり、単為生殖でとにかく数を増やして生き残るスタイルに進化したのでしょう。たとえ弱くても、生き残るためにしっかりと考えられた生態だな、と思いました。
ただ、植物の茎や花にうじゃうじゃと、張り付いた様は結構気持ち悪いです。しっかりと手入れや駆除を行わないと、大量発生して植物全体がアブラムシまみれになってしまうそうです。
私のPIXTAページです。よろしければご覧ください。購入もできます。
興味があれば
次回は、フキバッタを紹介します。
コメント