今回は八王子城の落城と現在どのような姿になっているかについてザックリと紹介します。

八王子城の落城 八王子城合戦
 1590年天下統一を進める豊臣秀吉は、反抗勢力であった後北条氏の打倒を決め(小田原征伐)、春に後北条氏の本拠地である神奈川県の小田原城を攻めました。その後も後北条氏の支城を次々と攻めはじめ、6月23日に八王子城に攻撃を開始しました。(八王子城合戦)豊臣軍は上杉景勝、前田利家、真田昌幸らが率いる15000人の兵力でした。一方八王子城では城主である北条氏照らの家臣たちは小田原城におり、このときは城代である横地監物吉信(よこちけんもつよしのぶ)らのわずかな将兵たちと避難してきた農民と女性子供合わせて3000人ほどでした。いくら守りが堅牢な山城といえども、これだけの戦力差を覆すことができず、わずか1日で落城してしまいました。
 落城時に城にいた城代や家臣たちは一旦逃げのびるも、逃げた先で自刃。女性たちも殺され晒られるのを恐れ、近くの滝の上で自刃し身を投げていったといわれています。その光景はあまりに惨たらしいものだったため、この戦いは、「小田原征伐で最も悲惨な戦い」と呼ばれました。これにより川の水は血で真っ赤に染まり、それが三日三晩続き、大量の蛭が発生したとのことです。「この川の水で米を焚くと米が真っ赤になる」と領民たちの間で噂話になりました。それ以降6月23日になるとこの戦いで亡くなった人々の供養のため、赤飯を焚く風習ができたといわれています。
 その後、小田原城も陥落し八王子城城主の氏照のはじめとする後北条氏も自刃、豊臣方の勝利で終わりました。後北条領は徳川家康のものとなり、八王子城は廃城となりました。
 八王子城に関して史料を読んでみたいという方は後北条氏や八王子の歴史について書かれた、『北条軍記』 『桑都日記』がおススメです。

現在の八王子城
 現在の八王子城は国指定文化財に指定され、発掘調査や整備などを積極的に行い、誰でも見学できるようになっています。日本100名城にも選ばれました。また、登山者、バードウォッチャーが多く来ます。
DSC_0004

DSC_0007
案内板

 まず、麓には城主の北条氏照の墓、この城についての解説が見れるガイダンス施設、城の門の跡、城までの道である古道、曳橋(ひきはし)、城の入り口である虎口と石垣、氏照らが生活していた御主殿(ごしゅでん)の跡、落城時に女性たちが身を投げた御主殿の滝などがあります。
 山に登ると途中で、防衛施設である金子丸跡、小宮曲輪、松木曲輪(景色が見れる展望スペースになってる)、八王子神社などがあり、さらに登っていくと本丸跡があり、またさらに進むと、天守閣跡(といわれている)、富士山が綺麗に見える富士見台などがあります。
 
実際に歩いてみての感想
 かなり広いです。1日では全部回り切れないと思います。麓の遺構だけでも十分に見ごたえがあります。山自体も登っていて楽しいですし、いい運動になるくらいには登りごたえがあり、この城を攻めていた豊臣兵の気分が味わえ、また、山城がいかに防衛に適しているのかを身をもって知ることができます。なので、城が好きな人だけではなく、山登りが好きな人にも十分楽しめる場所だと思います。ちなみに、かなり大きい駐車場と駐輪場もありますので車、自転車で来ても大丈夫です。
 ※山に登る際は、履き慣れた靴や登山用の装備で登ったほうがいいと思います。また、季節によっては、マムシ、スズメバチ、サル、イノシシ、タヌキなどの野生動物も多く出没しますので、それらにも十分に注意しましょう。私は別の日に行ったとき、山道でサルに威嚇されながら後をつけられたことがあります。


心霊スポットとしての八王子城(私が人から聞いたことやネットで得た情報なので、真偽は不明です。)
 この城は、史跡や観光スポットとしての一面だけではなく、心霊スポットとしても一部のオカルト好きたちの間で有名だそうです。夜になると、八王子城合戦で亡くなった兵士たちの甲冑の音や生首がゆらゆらと浮かんでいたり、滝に身を投げた女性や子供たちのすすり泣く声が聞こえたりといった現象が起こるというのです。
 夏になると肝試し目的の人々が訪れたり、タクシー会社の心霊スポット巡りツアーにも組み込まれていたりするほどの場所です。また、ネット民の心霊スポットランキングでも常に上位にランクインしており、「危ないから遊び半分では絶対に行くな!」とか「夜は近所に住んでいる人すら近づかないほどヤバい場所だ」「霊に憑りつかれても知らんぞ!!」「城系心霊スポットで最凶の場所だ」「城が落城した6月23日の夜に行くと必ず幽霊に遭遇する」などと言われています。最近では、ユーチューバーの人たちが『八王子城で肝試ししてみた』といった動画をアップしていたりと、こっち方面でも盛り上がり(?)を見せています。

どうしても肝試ししたい人への注意 絶対読んで!!

●城の近くには多くの民家があります。住民の迷惑にならないように大きな声は出さないようにしましょう。  
●城の周辺及び遺構にゴミを捨てたりせず必ず持ち帰ってください。
●城は夜になると明かりの無い真っ暗になります。安全のため懐中電灯持参のほうが良いでしょう。
●イノシシやサル、タヌキが出る可能性が非常に高いですので注意しましょう。出るか出ないかわからない幽霊よりも、こっちのほうがよっぽど危険で怖いです
●ここで肝試ししたことによる事故、霊症、その他色々なことなど、全て自己責任でお願いします。


興味があれば

      
   
    

次回は、奥多摩湖について紹介します。